第30章 家族の絆
和「はぁっ…はぁっ…せんせ…」
手を伸ばしたいけど…力が入らない。
智「先生…」
看護師さんが俺達の子供を抱き上げ…身体を洗った後、体重を測る。
分娩室に緊迫した空気が流れていた。
看護師「先生。2050gです」
先生「そうか。じゃあ保育器は大丈夫だな」
智「大丈夫…ですか?」
先生「2000g越えてるからとりあえず保育器は大丈夫。おめでとう元気な男の子だよ」
看護師「どうぞ?お父さん」
白い産着に包まれたおいらとかずの天使が智の腕に抱かれる。
「さとし…」
智「………男の子…」
和「わ…さとしじゃん…」
すやすやと眠る俺達の赤ちゃんは…正にさとしにそっくりだった。
智「………」
「男の子って父親に似るのかな…」
智「………」
「さと…?」
何も答えないさとしが気になり顔を上げた。
すると…
智「ご、ごめんもう限界…うぅっっ…!」
智は子供を抱き締めながらいきなりぼろぼろと泣き出した。
「さ、さとし…」
智「かず…ありがとう。本当にありがとう…!こんなに幸せなの…産まれて初めてだ…」
「さと…」
さとしの涙に…つられて涙が流れる。
智「ほら。ママだよ。お前を命懸けで産んでくれたんだ。大切にしろよ長男坊」
さとしがそっと…赤ちゃんを抱かせてくれた。
「………チビさとし…」
智「ふふっ。似てるか?」
「うん。金太郎飴みたい」
智「ははっ、そっか…。かず…本当にありがとう。お疲れさん」
「うん」
智「ハッピーバースデー」
「ありがと…」
2人で赤ちゃんを抱きながら…俺達は顔を寄せ合った。
こんにちは赤ちゃん…。
これからパパとママと…一緒に頑張ろうね…。