第28章 Big Fight
ー和也sideー
「うっぷ…おえっ…!」
キッチンの流しにへばりついて俺は吐き気と戦っていた。
ご飯の香り嗅いだだけでこんなに気持ち悪いなんて…。
つわりって…想像以上。
「うえっ…!」
すると聞こえてくる足音。
俺は慌てて水を流しながら振り返った。
翔「にの」
「しょ…さん…」
何も言わずに翔さんは俺の後ろに立って背中をさすってくれた。
翔「智くん寝室から出るなって言ってるから。見られたくないでしょ?」
優しい笑顔で口元を拭いてくれた。
翔さん…優しい…。
「うっぷ…!」
翔「気持ち悪い時は思いきり吐いて」
「うえっ…!」
俺は我慢出来ずに暫く吐き気と戦った。
智「かず。大丈夫か?」
「うん。もう平気」
寝室のベッドに太陽くんを抱っこして座ってるさとしの隣に腰掛ける。
智「本当か?無理するなよ?」
「平気だって。病気じゃないんだよ?ね、太陽くんおはよ」
太陽「おあよー」
「ふふっ」
智「翔くんは?」
「朝ご飯…作ってくれるって。何かつわりにいいスペシャルメニューがあるからって」
智「そっかぁ。先輩ママ友は頼りになるなぁ」
「うん」
智「おいらだけ…何も出来ねぇな。旦那なのに」
しょんぼりとさとしが眉を下げる。
「そんな事無いよ。こうして側に居て心配してくれてる。それだけで充分だよ」
智「そっか…」
「うん」
智「………出産の時…立ち会えたらなぁ…」
「うーん…難しいかもね。怪物ランドのプリンスだから…」
智「でも…出来るだけ立ち会える様にするよ。直ぐに知らせてくれたらすっ飛んでくるからな」
「嬉しい。でも…無理しないでね。仕事優先しなきゃいけないんだから。その代わり…1番に抱っこして?」
智「おぅ。任せとけ!」
翔「お待たせー。朝ご飯だよー」
ノックした後、翔くんが顔を覗かせる。
太陽「まんまー!」
翔「おはよ太陽。起きてたの」
太陽「まんまだっこー」
翔「はーい。おいで。ご飯食べる?」
太陽「たべゆー」
「ありがと翔さん」
翔「いいえ。食べよ?智くんも」
智「おう。サンキュ」
俺とさとしは立ち上がり、キッチンへと移動した。