第28章 Big Fight
「………ただいま…」
扉を開くと…そこは漆黒の闇で。
電気を付けても…シンと静まり返っている。
帰って…ないのか?
寝室の扉を開き電気を付けても…ベッドは綺麗に整えられたまま。
帰って来た気配は無い。
「翔…」
翔と太陽の居ないこの空間が…こんなに暗く、冷たく感じるなんて…思わなかった。
ひんやりとした空気が俺にまとわりつく。
もしかして…りーだーの家?
そう思ったのと同時に携帯が鳴り響いた。
「もしもしりーだー?」
智『お疲れ。今どこ?』
電話口から聞こえるりーだーの優しい声。
「ちょうど今…帰って来て…」
智『そっか』
「りーだーが電話してくれるって事はさ…翔と太陽…」
智『ん。うちに居る。今にのと3人でお風呂入ってるよ』
「………ごめん」
俺は溜め息を付きながらベッドに腰掛ける。
智『おいらはいいよ。泊まるだけならいつまで居てくれてもさ。でも…どうすんの』
「………受け入れなきゃいけないと思ってる。でも…嫌な気持ちは変わらない。それは…翔に分かって欲しい」
智『そっか。それで…いつ迎えに来んの。明日松潤仕事は?』
「朝からスタジオ。ツアーのセットと照明…そろそろ詰めないといけないから…いつ終わるか分かんない…。にのの身体の事もあるから変更点も…」
智『そっか。迷惑かける』
「迷惑だなんて言うなよ。おめでたい事なんだから」
智『うん。じゃあ…ありがと』
「うん。それで…冷静になったら迎えに行きたいんだ。翔の事」
智『分かった。伝えとく』
「………ごめん」
智『翔くんも…松潤の気持ちは分かってるからさ。愛なんだって』
「うん」
智『じゃあまた今度。おやすみ』
「ありがとう。おやすみ」
電話を切ると…俺はそのままベッドに横になった。
「………ベッド…こんなに広かったっけ…」
ぼんやりと天井を見つめる。
俺はその日の夜はそのまま…一睡も出来なかった。