第28章 Big Fight
ー潤sideー
旬「それでお前怒っちゃった訳?」
「………うん…」
旬「何やってんだか」
旬が溜め息を付きながらカウンターにグラスを置いた。
旬「マスターお代わり」
マスター「はい」
仕事の帰り、旬と合流して行き付けのバーで飲んでいた。
旬「お前の気持ちも分かるけどさ…頭ごなしに怒るのは駄目だろ」
「血が上っちゃってさ…『もう決まった事だから』とか言うし…」
旬「でも一度受けた仕事なんだから。断る事は出来ないってお前も分かってるんだろ」
「うん…分かってるけどさ…」
旬「お前ってば本当…翔くんの事になると我慢利かないな」
「………」
マスター「お待たせしました」
旬「ありがと」
「マスター俺も」
旬「お前は止めとけ。飲み過ぎ」
「はぁ…どうしよう。思いきり怒鳴っちゃった…」
旬「謝れよちゃんと」
「分かってるよ…」
俺は大きな溜め息を付きながらカウンターに突っ伏した。
旬「マスターどう思う?」
目の前でコップを並べるマスターに旬が声を掛ける。
もう何年も通ってるバーだから…翔を連れて来た事も何回かあって…マスターとも気さくに話が出来る様になっていた。
マスター「そうだな。松本くんは…止めさせたいの?奥さんが脱ぐ事」
「そりゃ…止めて欲しいよ。でも…それが出来ないって事も…分かってる…」
マスター「だったら…受け入れないと駄目だよね」
「そうなんだけど…」
マスター「櫻井くんだってさ…脱ぐって事かなりの決心が必要な事なんじゃないか?芸能界はよく知らないけど…撮影って…沢山の人に囲まれながら撮影するんでしょ?そこで肌さらすんだからさ…。かなりの決心がいったんじゃない?櫻井くんも…話してると松本くんの事心から愛してるのが分かるし…愛してる人に頭ごなしに反対されたら…辛いんじゃないか?」
「………」
マスター「夫婦なんだから寄り添わなきゃ。奥さんが決心した仕事…支えてあげなよ。夫にしか出来ないよ?」
「………はい」
俺は…マスターに頭を下げた。