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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第27章 Tears


「潤くん…あのね、話したい事があるんだけど…」


コーヒーをテーブルに置きながら俺は潤くんを見つめた。


潤「ありがと。何?」


「翔さんにも話したんだけどね…あの…」


潤「ん?」


潤くんがコーヒーを一口飲む。


「俺ね…その…おめでたなの…」


潤「え…」


「………夏に…産まれるんだ…」


マグカップを持つ手が固まっていた。


潤「ばっか!何やってんだよ!」


いきなり立ち上がり、俺の肩を掴む。


「え…え?」


潤「妊婦が何そんなに家事率先してやってんだよ!安静にしてなきゃ駄目だろ!ほら座って!」


「は、はい…」


そのまま椅子に座らせられる。


潤「コーヒーも駄目。妊婦はコーヒー飲まない方がいいって知らないのか?」


俺のマグカップを取り、中身を流しに捨てられる。


「そ、そうなの?ごめん知らなかった…」


潤「ちょっと待ってろ」


潤くんが立ち上がり、棚をガサガサ漁る。


潤「たしかここに…あった。良かった」


暫く潤くんの背中を見つめてると…いい匂いが漂ってくる。


「潤くん?」


潤「よし。ほら、これ飲みな」


差し出されマグカップの中には赤みがかった透明の液体。


「………ローズヒップ?」


潤「そう。妊娠初期にはこれが1番だよ。つわり抑えてくれるし…ビタミンミネラルが豊富なんだから」


「そうなんだ…頂きます」


ゆっくりと口にすると…温かいローズヒップティーに心が癒される気がした。


潤「………俺達に気使ってすぐ言わなかったのか?」


「………」


潤「馬鹿だなぁ。気にすんなよそんなの」


潤くんに優しくデコピンされる。


「翔さんにも…言われた…」


潤「だろ?」


「ごめんね潤くん…ありがとう…」


潤「おめでとうにの。元気な赤ちゃん産めよ」


「うん…ごめ…」


感情が高ぶり、涙が出てくる。


潤「妊婦はホルモンのバランスも崩れるからな。イライラしたりもするけど…ま、りーだーに当たり散らせばいいよ」


「ぐすっ…ふふっ、うん…」


潤くんが立ち上がり、俺を背中から抱き締めてくる。


潤「協力するから一緒に頑張ろう」


「うん…!」


翔「………取り込み中?」


ハッと顔を上げると…起きてきた翔さんが入口でジェラシー満載の表情で俺達を見ていた。
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