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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第27章 Tears


ー智sideー


「ただいまー…ふぃー疲れた…」


ふらふらと玄関から部屋に入りながら溜め息を付く。


4月からやらせてもらうおいらの新しいドラマの打ち合わせも大詰め。


結構疲れてんのに何故か体力だけはあった。
夜の方も…最近はいつもかずを求めてしまってる。
ちょっとは控えないとな。


和「お帰りさとし」


「おう」


リビングに入ると最高に可愛い笑顔でおいらを迎えてくれた。


「ん?」


テーブルを見ると…器に盛られた赤飯。


「赤飯炊いたのか?」


和「ん?うん。母さんが作ってくれたの。お祝いに」


「………お祝い?」


和「うん」


コクリと頷くかずの表情は…何て言うか…ふんわりと柔らかい微笑みだった。


和「これ」


するとかずがおいらに小さな冊子を渡す。
受け取ると…おいらは固まってしまった。


「………母子…てちょ?」


和「うん」


「………大野…和也様…って…」


和「うん」


するとかずの瞳から…涙が零れ出した。


和「夏に…産まれるよ」


「………本当に?」


和「うん」


「………夢じゃ…ねぇよな」


和「うん」


「………っっ!!やったぁっっ!!!」


和「さとしっ!」


産まれて初めてな位大声を出しながら…おいらはかずを抱き締めた。


「かず…!でかしたぞ」


和「うん…うん」


「やっとだなぁ…凄いぞかず!」


和「ひゃあっ!」


おいらは上がりまくったテンションを抑えきれず…かずを抱え上げ、くるくる回った。


和「さ、さとしっ…!」


「ありがとうな…かず」


「………うん…」


かずをゆっくり降ろし、涙に濡れた瞳にキスをして身体を屈める。


「ここにいんだな…」


かずのお腹に耳を当てる。


「おーい聞こえるか?パパだぞー」


和「ふふっ、さとしってば…まだ4ヶ月だよ。豆粒だって」


「いや、聞こえてる筈だ。おい聞こえるか?ちゃんと無事に産まれてくんだぞ?」


和「さとし…」


その日の夜も…さとしはずっと俺のお腹に話し掛けてくれていた。


早く…潤くんや翔さんにも報告したいな…。
きっと…喜んでくれるよね…。
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