第26章 救世主
ー潤sideー
目的地に着き、車から降りた俺達は辺りを見渡した。
当然の如く、そこには狐は居ない。
和(翔)「確かここで…子狐と会ったんだよ。ここだったよね、にの」
翔(和)「うん。間違いないよ」
「その子狐の手当てした後は?」
和(翔)「あの森に帰ってったよ」
翔が奥の森を指差す。
雅紀「あやちゃん。何か分かる?」
綾香「うーん…もしかしたらその奥に何かあるかも」
智「んじゃ行ってみっかぁ」
スタスタとりーだーが先陣を切って歩き出した。
森の中は薄暗く、草木が覆い茂ってるけど…昔は誰かが使っていたのか、小さい小道があった。
綾香「あ、その先何かある」
雅紀「うわ…俺も感じる。何か凄いオーラ…」
100メートル程歩いた先には…古びた鳥居と小さな神社が見える。
手前には…お稲荷様が奉られていた。
和(翔)「え…お稲荷様?」
「って、まさか…翔とにのが助けた子狐って…お稲荷様なの?」
翔(和)「うっそ…」
にのが両手で口元を押さえる。
智「でも何でお稲荷様が…2人を入れ換えたんだ?」
「悪戯?」
雅紀「違う…お稲荷様…違うって言ってるよ」
綾香「まーくん…分かるの?」
雅紀「うん。それに…翔ちゃんとにのが会った子狐さんは…今ここに居るお稲荷様じゃないみたい」
和(翔)「え?」
翔(和)「じゃあ何で…」
雅紀「うーん…分かんないなぁ…。とりあえずさ…せっかく来たんだしお参りしてお供え物しようよ」
「お供え物?」
雅紀「これこれ」
相葉くんがポケットから取り出したのは…ビニール袋に入った油揚げ。
雅紀「狐って言ってたから…油揚げかなって」
綾香「でもまーくん正解よ。お稲荷様は油揚げ好きなの。だからお供えして帰ろう」
「そうだな」
智「これで元に戻んのか?」
綾香「どうだろう…」
「ま、やるだけやってみよう」
俺達は油揚げをお供えした後、手を合わせてその場を後にしたのだった。