第21章 wound
ー潤sideー
その日…やっと翔の足の包帯が取れた。
お風呂も今日から解禁になり、早く入りたいだろうと夕方にお風呂の準備をした。
「一緒に入る?」
そう言うと驚いた顔で俺を見つめるもんだから
「冗談だよ。洗うの大変だったら呼んで。パジャマも準備してる」
翔「………うん…」
翔の頭を撫でると…コクリと頷いてリビングを出て行った。
「ふぅ」
途中だった食事の準備に戻る。
最近やっと…軽い物を少しずつ食べれる様になって。
今日は仕事の関係で作りたての蕎麦をもらったから…翔の好きな温蕎麦にした。
翔の好きな葱と生姜を効かせて。
太陽は今うちの実家に預けてる。
翔は嫌がったけど…今は翔の心の回復が優先。
太陽が居ないのは寂しいけど…また笑顔を取り戻すまでは。
ごめんな…太陽。
ママが元気になるまで…頑張ろうな。パパも頑張るから。
「翔…大丈夫かな」
何となく心配になり…声だけ掛けようとリビングを出た。
「ん…?」
バスルームに近付くと…声が聞こえる。
「っっ…ひっく…ぐすっ…」
………泣いてる…?
「翔?どうした?」
扉の前で声を掛けると泣き声は止んだ。
でも…鼻をすすりながら…慌てて涙を止めようとしてる感じがした。
「ごめん、開けるよ」
翔「こ、来ないで…!」
俺は構わずに扉を開けた。
「翔。どうした?」
翔は…鏡の前で…産まれたままの姿で泣いていた。
翔「っっ…み、見ないで…!」
両手で身体を隠しながら翔はうずくまった。
綺麗な白い肌は…少しあばら骨が浮き…全体にまだ痣を浮かばせていた。
「翔…!大丈夫。大丈夫だから…」
俺は翔に駆け寄り、抱き締めた。
翔「駄目…!俺に触っちゃ駄目…!」
「どうして…」
翔「俺もう…前と同じじゃない…汚い…け…汚れた…」
「………」
翔「潤だけだったのに…潤だけ…なのに…もう…俺の身体…汚い…」
「………」
俺は…そのまま翔を抱えて立ち上がる。
翔「や…潤や!」
「いいから。おいで」
翔「お願い嫌!服着させて!身体見られたくない!」
「そんなに汚いなら俺が確認してやるよ」
翔「潤…!」
俺の腕の中で…翔は身体を隠しながら縮こまった。
そのまま俺は翔を寝室に連れて行った。