第21章 wound
ー翔sideー
潤が仕事に出た後…俺はたまらずに家を出て、連絡もせずににのに会いに来てしまった。
そんな俺をにのは…優しく迎えてくれて。
こんな事…にのにしか相談出来ない。
にのに会ったら…案の定泣いてしまった。
「ごめんにの…」
和「何で謝るんですか。翔さん謝る様な事言ってないでしょ?」
「でも…」
和「俺はむしろ嬉しいな。こうやって頼ってくれて」
優しく微笑みながら…にのは俺の髪を撫でた。
和「潤くんも辛いと思います。当たり前ですよ。大切な奥さんが…酷い目に遭って…赤ちゃんまで。俺だって…悔しい。犯人…ぶん殴っても足りないです。俺もこんな気持ちなんだから…潤くんはきっとその何倍も」
「………」
和「今は…ゆっくり寄り添ってみたらどうですか。夫婦2人で」
「でも…俺…」
和「少しずつでもいいんですよ。今は怖くても…時間が経てばきっと…」
「………」
和「潤くん泣いてました。翔を助けられなかった。俺のせいだって」
「潤が…」
和「なのにもし翔さんが…潤くんを傷付けたって逃げたら…潤くんもっと辛いですよ?」
「………」
和「無理に歩み寄れとは…言いません。ただ…寄り添ってれば…少しずつ辛い事も…溶けていけるかもしれませんよ。それは翔さんと潤くんにしか…出来ないから」
「………うん…」
寄り添う…。
俺に…今の俺に…出来るのだろうか。
でも…やらなきゃ…。
「ありがとにの…」
和「こちらこそありがとうございます。頼ってくれて」
にのの顔を見ながら俺は…ほんの少しだけ前向きになれた様な…気がした。