第21章 wound
ー和也sideー
「さとしーほら、またソファーで寝てる。ベッド行くよ?」
智「んー…」
「ほら、起きて!俺貴方を抱えられないから」
垂れ目を余計に垂れさせながら智がぼんやりと目を開けた。
「寝よ?」
智「ふぇい…」
そういうと起き上がり、俺を抱き締めてきた。
「さと…歩けないよ」
智「じゃあこうすっか」
「ひゃっ!」
いきなり姫抱きされ、慌てて智の首にしがみついた。
智「おいらはお前を抱えられるぞ?」
「もー…びっくりした」
智に抱えられたまま、俺達は寝室に移動した。
智「よいしょ…」
ベッドに横たえられ布団を掛けられる。
「何か…さとしの子供みたい」
智「んふふ」
もぞもぞと智が隣に横になった。
「………」
智「………」
最近…あまり眠れない。
それは智も同じみたいで…。
ソファーでうたた寝する事はあっても本格的に寝ようとすると…どうしても頭が冴えてしまう。
相葉さんも…聞いてはないけど最近目の下の隈が目立ってる。
でも誰も…口に出そうとはしない。
思いは…きっと同じなんだ。
「さとし…」
智「ん?」
「潤くんに…連絡した?」
俺は…智を見つめながら口を開いた。
智「………いや…」
「………だよね…」
智「………」
「………翔さんに…会いたい。会って…抱き締めたい」
あの日…3人が翔さんを助けに行ったあの日…。
俺は…着いて行く事は出来なかった。
智に…「太陽くんを頼む」そう言われたから。
だから…翔さんの凄惨な状況を…俺は知らない。
皆口には出さないし…俺も…詳しく聞くのは怖い。
でも俺は…何もしてない。
何の役にも立ってない。
それが…酷くもどかしい。
智「その内な。今は…そっとしておこう」
諭す様に…智が俺の頬を撫でる。
「でも…翔さんも潤くんも…今辛いのに…俺何も出来ない…」
智「………かず…」
「俺…バチが当たったのかな…」
智「バチ…?」
きょとんと智が首を傾げる。
「俺…翔さんの事…羨んでたから…バチが当たった…」
智「………」
俺は…それまで秘めていた思いを智に爆発させたのだった。