第21章 wound
ー潤sideー
医者「今は眠ってるだけですので…問題無いでしょう」
「………すみません。ありがとうございます」
医者「いえ。朝起きたら何か栄養のある身体が温まる様な物を飲ませて上げて下さい。多分…あまり食事も取られて無い様で。貧血と栄養不足が酷いようです」
「分かりました」
医者「また何かあったらいつでも呼んで下さい」
「ありがとうございます」
玄関まで先生を見送り、俺は頭を下げた。
一息付いて俺は寝室に戻る。
翔はベッドの真ん中で…静かに眠っていた。
布団を肩まで掛け、髪を撫でる。
………きっと、あの部屋での事…思い出したんだろう。
あんな…あんなに脅えた翔を見るのは初めてだった。
俺から逃げようと…俺の腕の中で…俺の名前を呼んでいた。
『潤助けてぇっ!』
普通の生活なら…3日間なんてあっという間。
でも…翔に取ってあの3日間は…どんなに長い3日間だっただろう。
きっと何度も俺の名前を呼んだ筈だ。
何度も殴られ…陵辱されても。
「ごめんな…翔…全部俺のせいだ…」
あの時…俺が一緒に着いてれば…。
こんな事にならなかったのに。
「ごめんな…ごめん…」
眠る翔の手を握りながら俺は何度も呟いた。