第21章 wound
智は何も言わずに俺を見つめていた。
そう…俺は…翔さんを羨んでたんだ…。
「………2人目出来たって聞いた時…勿論嬉しかった。でも…でも本当は…それ以上に…羨ましかった…」
智「………」
「………何でって…思った。俺だって赤ちゃん欲しいのに…こんなに頑張ってるのに…もう…翔さんは2人目なんて…神様ズルいって…思っちゃったんだよ。でも…でもまさか翔さんがあんな事になるなんて…っっ…思わ…」
智「分かった。分かったから…」
言葉を遮る様に…智が俺を抱き寄せる。
「………ぐすっ…俺が助けにいけなかったのは…そんな事思った…バチが当たったんだ…」
智「違う」
「違わない…俺…俺最低な人間なんだよ…!」
ぐずぐず泣きながら智を見つめる。
智「おいらだって最低なんだ」
「さとしはだって…」
智「違う…あの日かずを連れて行かなかったのは…おいらが連れて行きたくなかったからなんだよ。太陽くんを理由にして…お前を置いて行ったのはおいらだ」
「え…ど…ゆ…」
智の言葉に…俺の涙が止まる。
智…どういう事…?
智「………翔くんの居場所が分かって…松潤が拒んでもおいらと相葉ちゃんは着いて行くつもりだった。当たり前だ。大切な仲間なんだから命だって掛けられる。でも…かずは…お前だけは連れて行きたくなかったんだよ。だから直ぐにお前に言ったんだおいらが…「太陽くんを頼む」って…」
「………」
智「何があるか分からない危ない場所に…お前を連れてなんて行けない。行ける訳ないだろ…!お前に何か遭ったら…おいら…」
「………さとし…」
智「翔くんは心底大事な仲間だ。でもお前は…それとは比べ物にならない位…大切なんだよ。おいらの命より…。だから連れていかなかったんだ」
「………」
智「お前が最低なら…おいらはもっと最低なんだよ…」
「さとし…!」
俺は自分から智に唇を重ね、しがみついた。
智「………ごめんな…こんな最低な旦那で…おいらの行動で…お前を思い悩ませちまって…」
「ううん…不謹慎だけど…大事にされてるって…嬉しかった」
智「当たり前だろ。じゃないと結婚してねぇよ」
「………ありがと…さとし…」
智「うん…」
そして今度は智から…俺に唇を重ねてきた。