第20章 Scream
ー翔sideー
目を覚ますと…激しい頭痛と腰痛に襲われる。
起き上がろうとしても腰に響いて起きられない。
目眩もする。
薬の…副作用だろうか。
辺りを見渡すと…彼は居ない。
身体を拭かれてパジャマに着替えさせられていた。
足かせは…付けられたまま。
「………潤…」
愛しい人の名前を呼んだ。
「潤…潤…」
もう枯れたと思った涙がまた溢れてくる。
脳裏に甦る…昨夜の情事。
明け方まで薬が抜けず…彼に抱かれ続けた。
「………ごめんなさい…ごめんなさい…潤…」
泣いていると…ゆっくりと足音が近付いて来る。
涙を拭いながら上半身だけ起き上がる。
佐伯「翔おはよう。起きてたのかい?」
「………」
笑顔でトレーに乗せた食事を棚に乗せた。
佐伯「お腹空いたろう?食事を持って来たよ」
彼が作ったのだろう。
味噌汁と卵焼き、そしてご飯が盛られている。
「………いりません。食べたくない…」
佐伯「せっかく作ったんだ。食べてよ」
「………食欲無いんです…いった!」
思いきり腕を掴まれ、顔を上げるとあの時と…俺を殴っていた時と同じ恐ろしい顔をしていた。
佐伯「………俺が作ったんだ。食べるんだ」
「………はい…」
食べなければ…また殴られる…。
俺は箸を持ち、その食事を無理矢理流し込む様に食べた。
佐伯「美味しいかい?」
何も答えずに頷く。
………美味しくなんかない。
俺の作った料理の方がまだマシ。
潤…潤の作った味噌汁…食べたい。
この間作ってくれた茄子と揚げの味噌汁…美味しかったな…。
「………っっ…ぐすっ…」
味噌汁に…俺の涙が落ちていく。
佐伯「翔…何で泣いてるんだ?」
不思議そうに顔を覗き込みながら、優しく髪を撫でられる。
「帰して…お願い家に帰して…」
佐伯「何言ってるんだ。ここが翔の家じゃないか」
ケラケラと楽しそうに笑う。
佐伯「翔は…ここで俺とずっと一緒に暮らすんだろ?だって恋人同士で…もうすぐ結婚するんだから」
「止めて!貴方と結婚なんてしない!俺は結婚してるんだよ潤と!」
佐伯「………潤…?」
「俺の夫は…潤だけ…潤じゃないと駄目…愛してるのは潤だけ!!」
その瞬間、俺の脳に火花が散った感覚に襲われた。