第19章 慟哭
ー潤sideー
村上「あれ、松潤」
「ヒナ久し振り」
テレビ局の駐車場で偶然に会った関ジャニ∞のヒナ。
久し振りに見るその顔に俺は顔を綻ばせた。
村上「元気しとった?」
「うん。そっちは?」
村上「元気元気。ドラマ観てたで。最終回どうなるん?」
「ははっ、それは内緒だよ」
村上「せやろなー」
とりとめも無い会話を交わしながらも脳裏にあるのはヨコの事。
ヒナなら…あいつの翔への気持ち何か知ってるかな…。
でもどうやって切り出そう。
そう考えてると…切り出してきたのはヒナの方で。
村上「横山…翔くんと上手くやってるかいな」
「ん?うん…どうして?」
俺はあえてその言葉に食い付いた。
村上「いや…迷惑かけてへんかな思て…」
何となく歯切れの悪い返事をヒナは返してきた。
やっぱり…何かあるんだ…。
「………ヒナ。何かあるなら教えてくんねぇかな?」
村上「え?」
「翔…ヨコの事で悩んでる」
村上「………」
口を万一文字にしながら…ヒナは真っ直ぐに俺を見つめた。
「………これ内輪だけの話なんだけど…翔…最近携帯に無言電話とか空メールが酷くてさ…」
村上「え…?」
ショックを隠せない顔でヒナはうつ向いた。
村上「そんな…まさか…いくらなんでもそこまでは…」
俺はヒナに一歩近付いた。
「………ヨコか?やったの」
村上「いや…!まさか…だってあいつ…忘れる言うてたし…そこまでする奴ちゃうよ…でも…」
「………やっぱりヨコ…翔の事…好きだったのか…」
村上「………」
片手で額を多いながら大きくため息を付いた。
村上「………すまん。でも…あいつ自分の気持ち抑えとってんずっと…でも…ドラマ決まって喜んどった…ほなら…それからちょっと様子変わってな。俺言っててん『押さえろ』って…でもまさかあいつそこまでやってたなんて…毎日一緒におって止めれん様になったんかな」
「………ヒナが謝る事じゃないよ。でも…翔が怯えてるから…今日でクランクアップだから…もう終わりとは思うけど」
すると顔付きの変わったヒナが慌てた様に顔を上げる。
村上「あいつはオールアップしてんねんけど…翔くんに逢うからテレビ局行く言うてた…」
「………まさか…」
じんわりと、背中が汗で滲んだ。