第4章 結婚までの道のりー前編ー
ー潤sideー
今まで何も言わずに黙っていた社長が口を開いた。
張り詰めていた空気に輪を掛ける様にまた緊張が走る。
俺達は顔を上げるのが精一杯で立ち上がる事が出来なかった。
社長「ソファーに座りなさい。子供が居るんだろう?床に正座はよくない」
翔「………はい」
翔が立ち上がる。
俺は翔を支えて立ち上がりながら一緒にソファーに座り直した。
社長「潤…どんなペナルティーを受けても文句は言えないと言ったね」
「………はい」
社長「では…選びなさい。引退して結婚するか…諦めて仕事を続けるか」
「え…」
社長「………選びなさい」
翔「そんな…」
社長「それがペナルティーだ」
泣きそうな顔で翔が社長と見つめ合った。
………守る。そう決めた。
俺は再び…立ち上がった。
「………俺が辞めます」
翔「潤!?」
「だから…翔さんだけは…許して下さい」
翔「何言ってるの潤!」
翔が立ち上がり俺の肩を掴んだ。
翔「何で潤が辞めて俺が残るんだよ!?」
「妊娠させたのは俺の責任だ。ペナルティーを被るのは…俺だ」
翔「でも俺…が…駄目だよ!辞めるのは俺だよ。産みたいって言ったのは俺なんだから!」
「駄目だ!翔は辞めさせたくない!」
すると翔が社長の方を向いた。
翔「社長…こんな形になって申し訳ありません。でもペナルティーを受けるのは俺です。仕事に影響するのは俺です。引退して家庭に入ります」
「何言ってんだよ!家庭に入るなんて…家事出来ないだろ!」
翔「出来ないんじゃない!やらないだけだよ!やろうと思えば出来るって!」
「無理だっつーの!才能ないって!」
翔「やるよ!やりたい!」
翔が俺の手を握る。
翔「お願い…ちゃんと奥さんやるから…潤の為に…赤ちゃんの為に…」
「翔…」
ジュリー「………それで決まりなの?」
「待って下さい…俺は…」
その時だった。
勢いよく扉が開き、振り返るとそこには…よく知る3人の顔。
翔「………どうして…」
ジュリー「3人共取り込み中よ。出なさい」
雅紀「嫌です」
社長とジュリーさんを見つめながら3人は俺と翔を囲む様に立った。
そして…リーダーが口を開いた。
智「………嵐を解散して下さい」