第74章 Renewerd
「………俺はね。亜香里さんからバトン渡されたって…そう思ってる」
智「………バトン?」
「ん。大事な大事なバトン」
智「うん…」
「いつか…遠い将来俺が死んだら…そのバトンを…亜香里さんに返すの」
智「………」
「その時にね。伝えたいんだ。『智香ちゃんを託してくれてありがとう』って…」
智「かず…」
「俺は…智香ちゃんの親になれて本当に良かったって思ってる。あの子は…亜香里さんと俺達の大切な娘だよ。大切な…大野家の長女。だから…母さん達だって…3人と分け隔てなく可愛がってくれてる。さとしだってそれが分かってたからこうして一緒に暮らす事望んだんでしょ?だから…苦労なんて言わないで。苦労なんてしてないんだから」
俺がさとしに伝える度に…ぼろぼろとさとしの瞳から涙が溢れる。
智「ありがとう。本当にありがとう。本当に…お前で良かった。良かったよ…」
「………さとし…」
智「ぐすっ…これからも…よろしくお願いしばす…」
「当たり前だよ。香也産まれたばかりなんだし…頑張ってね」
智「おう…」
「もう…泣かないの」
涙を啜るさとしが可愛くて…俺は笑いながら濡れたほっぺをぷにぷにと引っ張った。