第74章 Renewerd
「どうしたの?」
和母「うん。智香ちゃんの事なんだけどね」
智「何かありましたか?」
和母「ほら、高校に入学したばかりだけど。進路は決まってるのかしらって」
「あー…まだその話はしてない、かな…智香ちゃんも特に何も。一応普通科だしね」
和母「やっぱりね。貴方達2人共のんびりしてるんだから」
智「すみません」
和母「智香ちゃんのやりたい事決まってるんだとして…もしいい大学目指すんだったら塾に行かせるなり家庭教師付けるなりやんないと。今度話し合ってみたら?引っ越す前ご近所さんと話して気になったから」
「そうだね。そうするよ」
和母「じゃあ先に寝るわね。おやすみなさい」
智「おやすみなさい」
「おやすみ」
母さんがリビングを出て行く。
智「………そっか。もうそんな年かぁ」
「………もう6年か」
智「ん?」
「智香ちゃんが…うちの子になって」
亜香里さんの顔が脳裏に浮かぶ。
きっと…さとしも同じ事を考えてるだろう。
智「苦労させたよな…」
さとしが眉を下げながら俺を見つめる。
「さと。怒るよ」
智「え?」
「確かに大変な事あったけど…苦労だって思ってない。そんな事言ったら智香ちゃんに失礼だよ」
智「………ごめんなさい」
「………さと」
香也を抱っこしたまま、頭を下げるさとしの手を俺は握った。