第73章 押された背中
「お帰り………どうした?」
玄関を開けると明らかにりーだーとにのの雰囲気が違っていた。
智「ただいま。連絡しなくて悪いな。ちょっと…バタバタしたもんだから」
「いいけど…どうした?」
涙目になってるにのの背中を支えながらりーだーが申し訳なさそうに眉を下げる。
和「ごめん潤くん。ちょっと…子供達見てくる」
そのままにのはリビングへと向かってしまった。
「………りーだー?」
智「ちょっといいか?」
「うん」
そのまま俺達は目の前の洗面台へと入った。
「何があったんだよ」
智「うん…仕事終わる少し前にさ。かずが…『お腹が少しおかしい』って。だから直ぐに病院行ったんだ」
「病院!?大丈夫なのか!?」
智「あぁ大丈夫。ただ…」
「………ただ?」
智「………発育不全の傾向があるかもしれないって。少し小さいみたいなんだ。今度詳しく検査する事になった」
「………発育不全…」
智「………松潤。やっぱりあいつ…今年のツアーは参加させたくねぇんだ」
いつになく真剣なりーだーの瞳が俺を捉える。
「それは…そうだよ。そんな状態なら」
智「………サンキュ。それでちょっと…喧嘩になっちゃってな」
「だから…にのちょっと泣いてたのか」
智「ツアーやりたいって言うもんだから…俺…つい怒鳴っちゃって。本当に…カッとなってな。人生で初めてだあんなに…怒鳴ったの」
「………そっか」
智「一応納得はしてくれた。でも…」
「まぁ、今頃翔と話してるだろ。大丈夫だよ。ちゃんと検査して…5人で話し合おう」
智「ありがとうな」
頭を下げるりーだーの肩を俺はそっと撫でた。