第73章 押された背中
「はぁ…」
少し唇を離すとつい声が漏れてしまう。
そのままおでこがくっつき、潤の男前な顔が目の前に来る。
潤「今日程…自分の妻を愛おしくて頼もしいと思った事はないよ」
「………潤…」
潤「辛い思いに正面から向かっていく翔は…本当に立派で…凄いよ。俺だったら出来ないかもしれない」
「………強くなれたのは…潤がこうして支えてくれるからだよ。太陽も支えてくれるけど…最強のブックエンドは潤だけだもん。潤だけ…代わりは効かないんだから」
潤「うん…これからももっと頼って…」
「うん。もっと…」
微笑み合い、そしてまた唇を重ねる。
「ん…」
抱き着けないのがまどろっこしいなんて考えてると…ふと気配を感じて目を開く。
「あっ…!」
潤「え?あ…」
リビングからいつの間にか…大野家3姉弟が俺達のキスを覗いていた。
正確には…興味津々に見つめる智くんと顔を赤らめて和香ちゃんの目を隠す智香ちゃん。
潤「あ、えっと…ははっ。見てた…よな」
智也「ちゅー!じゅんパパとしょーママがちゅー!!ねー、たいよーくん!」
太陽「えー?いつもしてるし…」
慣れてる太陽だけは見向きもせずにひたすら宿題をしていた。
潤「ははっ…ま、まぁその…なんだ。パパとママだってちゅーしてるだろ?」
智也「んー?しないよぅ。見た事ないもん」
「そ、そっかぁ…あ、ほら。宿題。終わらせようね?」
そう言うと潤が慌てて3人をリビングに連れて行った。
「はぁ…ビックリした…」
ため息を付きながら俺は夕食作りに戻った。