第73章 押された背中
CM発表会は滞りなく進んでいった。
問題もなく、司会者の人もスムーズに進めていってくれた。
「それでは…これで終了させて頂きます。ありがとうございました」
「ありがとうございました」
頭を下げて俺は一度袖に引っ込む。
「ふぅ…」
その間に会場は囲み取材の準備に追われる。
その様子を見ながら俺はマネージャーから渡されたお茶を一口飲んだ。
「………真ん中か。いい場所取っちゃって…」
あの男を見つめながらつい、声が漏れてしまう。
翔マネ「大丈夫ですか?」
「うん。潤とは…連絡付いた?」
翔マネ「はい。繋がってますよ」
差し出されたマネージャーのスマホ画面には俺に手を振る潤が映っている。
「お疲れ様。打ち合わせ大丈夫?」
潤『大丈夫。着いてやれなくてごめんな』
「………着いてくれてるでしょ?」
潤『………そうだな。ちゃんと見てるから』
「ありがとう。じゃあ行って来る」
潤『うん。行ってらっしゃい』
そして、スマホ越しの潤に見守られながら俺は会見場へと歩いて行った。