第73章 押された背中
翔「ただいまー…」
翔が玄関に入って来るタイミングで俺と太陽は並んで翔を迎えた。
少し驚いた後、笑顔になる翔。
「お帰り翔」
太陽「お母さんお帰りなさい!」
翔「太陽。起きてたの?」
太陽「うん」
翔「そっか…観てくれたんだね」
太陽「うん。お父さんとみたよ」
翔「ありがとう」
翔が太陽の前に腰を屈めながら肩に手を置く。
翔「驚かせてごめんね。お父さんから聞いたと思うけど…」
太陽「うん」
翔「お母さんがテレビで言った事で…これから太陽に迷惑かけるかもしれない。でもちゃんとお父さんとお母さんが何があっても太陽を守るから」
太陽「………ちがうよお母さん」
翔「………え?」
「太陽…?」
太陽「僕とお父さんでお母さんを守るんだよ」
翔「太陽…」
太陽「ぼくは何言われたってへいき。それにきょうだいいなくてもさみしくないよ。だってもうすぐともくんたちとおとなりになるし…こてだっている。だから…ぼくはへいき。だからパパと一緒にママをまもるよ」
翔「太陽…太陽!」
翔が泣きながら太陽を抱き締めた。
太陽の後ろに立っていた俺は後ろから太陽に抱き着いた。
「太陽…ありがとな」
太陽「ふふっ。でもお父さんが1番がんばってね」
「もちろん。でも…一緒に…な」
拳を太陽の前に出すと太陽も拳を突き出しコツンとしてくる。
本当に…いい息子に育ってくれたな…。
幸せを噛み締めながら…俺達親子はいつまでも抱き締め合っていた。