第73章 押された背中
太陽「お父さん…」
「お母さん守れなくて…ごめんな」
太陽「お父さんは悪くないよ」
「いや…お父さんのせいなんだ。性的暴行を受けたあの日お母さんをほんの少しでも1人にしたから。それに…子供が欲しいって頑張ってたお母さんに『太陽だけでいいからもういらない』なんて言って酷い事言って…太陽だって寂しいのに…」
太陽「………」
すると太陽がぽんぽんと俺の胸を叩いて少し離れた。
太陽「お父さんのせいじゃないよ。それにまたけっこんしてくれたじゃない」
「太陽…」
太陽「それにぼくはもうすぐじぃじとばぁばと一緒に暮らせるからさみしくないよ」
「うん…ありがとな」
太陽「うん。でも…お母さんは凄いね」
「ん?」
太陽「テレビでじぶんの悲しい事話すのってしんどいよね。でもお母さんはがんばって話したから…ぼくすごいと思う」
「本当にな。お母さんは強くなった」
太陽「ほれた?」
「ふふっ、うん。惚れ直したよ」
太陽「良かったねぼくのおかげでけっこんできて」
「こいつ…生意気になって」
ケラケラ笑う太陽を引っ張って羽交い締めにした。