第73章 押された背中
翔『率直な質問なんですが…』
大石『はい』
翔『………被害に遭われた時は…そこにどうやって気持ちを持っていったか聞かせて頂けますか?』
大石『………楽な道ではなかったです。毎日泣いて暮らしました。誰にも言えなくて…お付き合いしていた方にも…言えなくて。もし…責められたらどうしようって。俺の落ち度だって…言われたら…』
翔『………』
大石『でもそんな思いが…態度に出ていたんでしょうね。ある日言われたんです。別れたいのかって。それで…言おうと思いました。どうせ捨てられるんなら最後位嘘付かずに別れようって』
翔『それで…』
大石『でも彼は攻めなかった。泣いて…抱き締めてくれました。何でもっと早く言わなかったんだろうって…』
翔『………』
大石『立ち向かいたいと伝えた時も支えてくれると…背中を押してくれました。彼だけでなく友人も家族も…支えてくれました。色んな方達の支えがあって…居場所があって…私は今こうしてここに立っているんだって…だからもし1人で泣いてる人達が居るのなら…1人で泣かないで欲しいと。きっと支えがすぐ側にあるんだって。一緒に探そうって…そういう活動をこれからも私達はやっていきたいと思います』
大石さんの話に翔は何度も深く頷いていた。