第73章 押された背中
ー潤sideー
テレビの前で俺はコーヒーカップを持って腰掛ける。
隣には太陽も黙って座っていた。
時計を観ると…本番まで1分。
太陽「ぼくはじめてだよ。お母さんのニュース観るの」
「そっか…そうだよな。この時間は寝てるもんな」
太陽「うん」
「眠くないか?ごめんな。でもお父さんもお母さんも今日の放送は太陽に観て欲しい」
太陽「どうして?」
「お母さんが今立ち向かってる事知って欲しい。難しいかもしれないし太陽にはまだ少し早いかもしれない。でも…太陽にもお母さんを理解して支えて欲しい」
太陽「うん分かったよ」
「ありがとな」
そして丁度そのタイミングで番組がスタートする。
村尾『こんばんは』
翔『こんばんは』
いつもの音楽が流れる中、並んで立つ翔と村尾さんが挨拶をする。
そして…番組は始まった。
大石さんとの対談は…中盤の翔の受け持つコーナーを拡大してやるとの事。
予告でも…先週から『櫻井キャスター×大石真さんの対談。そして櫻井キャスターのある告白』と予告を大々的にやっていた。
正直気に入らなかったけれど…『それをきっかけに観てくれる人が1人でも増えてくれたら嬉しい』と翔は答えてくれた。
その対談が始まるまで…俺と太陽は静かにテレビを見つめていた。