第73章 押された背中
潤「翔。お帰り」
「ただいま潤。ごめんね遅くなって」
玄関で迎えてくれた潤にしがみつくと彼はしっかりと俺を抱き締めてくれた。
「ちゃんと…話した。長くなって…反省会の後でもう一度集まって話をしたんだけど…」
潤「うん」
「うちでしっかり時間取って取り上げられる様にしたいって…言ってくれた」
潤「そうか。良かった…!」
「まだ…わかんないけどね。でも村尾さんも…『櫻井さんの様な影響力のある人が発信していく事によってきっと声を上げる事が出来なかった人の力になる』って…」
潤「うん…」
「俺が活動して訴え続けていけば…性犯罪の数も減っていけば…」
潤「きっと上手くいくよ」
「………ありがとう。それとね」
潤「ん?」
「前向きになれるかもしれない」
潤「え…何?」
「赤ちゃんの事。不妊治療の事…もし…もう少し前向きになれたら…」
潤「翔…」
「いい?」
潤「駄目だって言う理由はないよ。俺達に出来る事やっていこうな」
「ありがとう潤…」
潤「一緒に…頑張ろうな」
「うん」
そう誓い合い、俺達は何度も強く抱き合った。