第73章 押された背中
翔「あれ?太陽寝た?」
「うん寝た」
洗濯物を干し終えた翔がリビングに戻って来る。
翔「俺…ちょっと厳しいかな…太陽に」
「ん?」
翔が溜め息を付きながら俺の隣に座る。
翔「自分が10年間経験してきた事だから…気を抜くと直ぐに結果になって現れるって分かってるからつい…」
「間違ってないよ。それに太陽は分かってる。ただ…」
翔「ただ…?」
「太陽がお母さん怒ると凄く怖いってビビってたから…もう少ーし…怒るボリューム下げて貰えると…サポート役のお父さんとしては助かるかな」
翔の前で親指と人差し指を近付けて見せると翔が笑った。
翔「ふふっ、ごめんなさい。気を付けます」
「うん」
翔も…太陽の為と思って気を張り過ぎたんだろう。
でもちゃんと分かってる。
見つめ合い、いい感じになってきた俺はキスしようと顔を近付けた。
翔「あ。潤ごめんZERO始まっちゃってる」
少し触れただけで翔は唇を離し、リモコンを手に取った。
「ちぇっ」
翔「村尾さんもうすぐ観れなくなるんだからちゃんと視聴者としても観てないと…」
テレビを付けると今日あった出来事がスーパー付きで流れる。
仕方がないと、翔に合わせて俺も視線をテレビ画面に向けた。
そして、あるニュースが流れ始めると翔の目付きが変わり始めた。