第73章 押された背中
それから数日後の夜。
いつもの様に太陽は翔に勉強を教えて貰ってる。
翔「うん、そう。そしたら?」
太陽「あ、そっか…はい」
俺は邪魔しない様に静かに好きでもない本を読んでる。
前につまんなくてテレビ付けたら翔にめっちゃ怒られたからなぁ…静かにしてないと。
翔「そう!出来たじゃん太陽。頑張ったね」
太陽「終わったーい!」
太陽が両手を上げて立ち上がる。
翔「お疲れっと…あ、もう11時になるじゃん。太陽早く寝な。俺洗濯物干しとかないと…」
パタパタとリビングを出て行く翔。
「頑張ったな太陽」
太陽「だってちゃんと自分で考えないとお母さん怖いんだもん。お父さんおしごとでいなかったけどこの間分かんなくてやりたくないっていったの。そしたら…」
「………そしたら?」
何となく、想像は付くけど。
太陽「『じぶんがお母さんと同じ学校に行きたいって言ったんだからことばにせきにん持ちなさい!』って…すごくおこられた。お母さんこわい…」
「ふふっ、確かにお母さんは怒ると怖いし勉強には人一倍厳しい。でもな…」
太陽の手を引いて隣に座らせる。
「お母さんは中学生からお仕事してたから…勉強とお仕事の両立が本当に大変だったんだ。それに…櫻井のじぃじや大じぃじに反対されながらやってたから大変だったんだ。でも自分がやりたいって言った事だからって…大学卒業するまで貫いた。『自分がやりたい事だから』って。だから…そこは人一倍厳しいのかもな。でもそうやって厳しくするのも太陽の為だよ。それに…最後まで勉強見てくれるだろ?」
太陽「うん」
「父さんも勉強見れればいいけど…父さんは勉強嫌いだったから…高校も行きたくなかった位だしな。だから太陽とお母さんには申し訳ないけど応援する事しか出来ないんだけど。でも…そんな頑張ったお母さんの子供だから…きっと太陽もやれるよ。な?」
太陽「うん。ありがとうお父さん」
大きく頷く太陽の頭を俺は力強く撫でた。