第72章 葛藤
「ごめんね潤くん…」
潤「何で謝るんだよ」
「潤くんだって辛いのに…他人の俺がしゃしゃり出て…」
潤「他人なんて言うなよ。翔の1番の親友だろ。それに家族同然だろ」
「うん…ありがと…ぐすっ…」
潤「でもにの。にのは翔に申し訳ないって思わないで欲しい。立派に元気な赤ちゃん産んで欲しいって…本当に翔喜んでたんだから」
「うん…」
潤「これからも…翔とは折を見て話そうと思ってる。子供の事も…治療するにしても…しないにしても…きちんと折り合いつけないとって思ってる。中途半端で治療止めてしまったっていうのもあるから」
「潤くん…」
潤「ん?」
「もし治療して…どうしようもない時は俺が協力出来る事はするから。何でもする。必要な時は卵子提供だってする。何なら代理母にだってなるよ」
潤「にの…そこまで…」
「だから…その時は遠慮しないで。俺本気だよ。お願い」
潤「ありがと」
柔らかい表情で潤くんが笑った。
潤「さて…ごめんな来てもらって。送るよ」
「え?いいよ忙しいんだから。またマネージャーに連絡して」
潤「いいって妊娠中にわざわざ来て貰ったんだから。それに1人で帰すとりーだーに殺される」
「ぷっ…黙ってれば分かんないのに」
潤「そういうとこ鼻が効くのがりーだーだろ?大丈夫だから行こう。立てる?」
「ありがとう潤くん」
差し出された手を掴むとそのまま起こされ、抱き締められた。
潤「ありがとうな…にの。話せて良かった。にのが居てくれて良かったよ」
「潤くん…俺も…ありがとう…」
潤くんの背中に手を回し、少しの間俺達は抱き合った。