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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第72章 葛藤


ー翔sideー


「わぁ…少し見ない間に大きくなったね」


綾香「でしょ?ずっと抱いてると重くて腕がパンパン」


確かに…腕に抱くりんちゃんは以前に抱っこした時よりズシッと重みを感じていた。


「可愛い。相葉くんに似てるけど…少しずつ綾香ちゃんにも似てきたよね。目元とか」


和「うん。似てる似てる」


「ほんと?嬉しいな」


和「ぷにぷに…」


にのが笑いながらりんちゃんの頬を触る。
その横顔は柔らかく、また母親になる穏やかさを秘めてる様だった。


母になった綾香ちゃん。
また母になるにの。


穏やかな2人の柔和な微笑みを羨ましく思った。


本当は…子供が欲しい。
欲しくてたまらなくなる。
でもやっぱり怖いんだ。
また何度も現実と向き合わなければいけない。
妊娠検査薬の陰性の印を見て…出来ないという事を突き付けられる現実。
そして…その原因になったあの日の出来事。


向き合わないときっと…また子作りには励めない。
どうやったら俺はその現実に向き合えるのか。
強姦されて…子供の出来ない身体になった。
そんな現実が…あの3日間の出来事が…ずっとずっと尾を引いている。
9年経って…少しずつ立ち直ってきたってそう思ってたのに。
潤に何度癒して貰っても…また湧き出てくるかの様に吹き出してくる。


犯された。
レイプされた。
そのせいで子供が出来ない。
一生子供の出来ない身体。
レイプされたせいで。
あの日のせいで。


2人が俺の異変を感じていたのにも気付かずに…俺はりんちゃんを見つめながら心で葛藤を繰り返していた。
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