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君と僕の見ている風景【気象系BL小説】

第72章 葛藤


ベッドでは翔がすやすやと可愛らしい寝息を立てている。


隣に潜り込み、抱き締めながら首筋に顔を埋めると翔の香りを身体に感じた。


ようやく取り戻した日常。
これ以上望むものは何もないけど…。


本当は翔が誰よりも子供を望んでるのは分かってる。
3人の生活がそれよりも大切になったという気持ちは勿論本音なんだろう。
でもきっと…望む気持ちは変わらないのは分かってる。


あの頃は…俺は翔の身体の方が大事だった。
治療してまで…欲しくはなかった。


けど…今は。
ほんの少しでも可能性があるなら。
俺の協力で少しでも子供を持てる可能性があるのなら。


翔がまた…俺の子供を産んでくれる。
俺の子供をその腕に抱いて微笑んでくれる光景を見る事が出来るなら。


けれど…


『また…俺達の腕をすり抜けて先に天国に行かれたら…俺は…』


重くのし掛かる翔の涙と言葉。


もう…翔に辛い思いはさせたくない。


翔「ん…潤…?」


強く抱き締め過ぎてしまったのか、翔の寝惚けた声が聞こえる。


翔「眠れないの…?」


「ちょっと…ごめん起こして」


翔「ううん…どうしたの?」


後ろから抱き締めていた翔が正面を向いて抱き着いてくる。


「何でもないよ。ただ…」


翔「………ただ?」


「………俺の奥さんが天使過ぎてずっと見てたの」


翔「なぁにそれ」


くふふと笑う妻を抱き寄せながら俺は唇を重ねた。
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