第69章 Essential
ー和也sideー
和母「じゃあ私帰るわね」
「え?母さん帰るの?」
子供達を寝かし付けた頃、母さんが鞄を持ちながらそう言ってくる。
「泊まらないの?」
いつもだったら泊まるのに。
そんな疑問を持ちながら首を傾げる。
和母「ええ。今日は帰る」
「………そう。分かった」
そのまま玄関まで送る。
「いつもありがとうね。子供達の事」
和母「何言ってるの。可愛い孫の為でしょ」
「………いつも分け隔てなく面倒見てくれて感謝してる。智香ちゃんの事も」
和母「………貴方が娘にするって決めたのなら私の孫よ。智也と和香と同じよ」
「………うん。ありがとう」
智「あれ。お義母さん帰るんですか」
「さとし」
振り返ると風呂から上がって来たさとしが頭を拭きながら俺達の元に歩いて来る。
和母「ええ。今日はちょっと帰りたいから」
智「いつもすみません。ありがとうございます」
和母「いいのよ。それじゃおやすみなさい」
智「おやすみなさい」
「ありがとう。おやすみ」
母さんが出て行き、俺はさとしと一緒にリビングへと戻った。
「さとしコーヒーでも飲む?」
智「んー…そうだな」
「オッケー」
お湯を沸かし、コーヒーを入れるとリビングに戻る。
智「サンキュ」
微笑みながらコーヒーを受け取る智。
「何でドライヤーで乾かさないのさ」
智「面倒くせーんだもん」
「んもう…風邪引くよ。だったらもっとちゃんと拭いて」
肩に掛かったタオルでさとしの頭をゴシゴシ拭く。
俺に身を預けながらコーヒーを啜るさとしのうなじが目に入った時、ドキリとした。
風呂上がりで蒸気したさとしのうなじは…いつもよりかなり色っぽく感じた。
………そう言えば…最近…俺達…。
ふとそんな事が頭を過った。