第68章 ママにプロポーズを
「あ…」
潤に抱き締められながら、忘れかけていた検査薬が目に入る。
「潤…何分経った?」
潤「あ、もう…5分位?」
潤が俺から離れ、一緒に検査薬を見つめる。
「………陰性…か…」
「………陰性…」
妊娠、していなかった。
ホッとしたと同時に…自分が情けなくなる。
「………印が出ないのがあんなに辛かったのに…今の俺…ホッとしてる」
潤「………」
「情けない…」
泣きそうになる俺をまた抱き締めてくれる潤。
潤「これで良かったんだよ…だから…気持ち切り替えよう」
「うん…ありがとう潤」
潤「大丈夫。さて、じゃあ…これ薬局の帰りに寄って来たんだけどさ…書いてくれる?」
潤がシャツのポケットからガサガサと紙を出してテーブルに広げる。
「婚姻届…」
潤「うん。プロポーズ受けてくれたら書いて貰おうと思って。書いて…くれる?」
「うん。でもこれ…太陽が帰って来てから…書いていい?」
潤「いいよ。じゃあ今から迎えに行こうか」
「ぷっ、まだ昼前だよ?」
潤「だって我慢できないしなぁ」
「潤のせっかち」
クスクス笑いながら…俺達は唇を重ねた。