第67章 恋の行方 PART 2
「………真央がな」
斗真「真央?」
「………妊娠してたって」
斗真「妊娠…?」
「俺の子供妊娠してたって翔に嘘付いた。それで翔は…俺に別れるって電話で伝えて…ここに来た」
斗真「そんな事…真央が…」
「本当は…俺の子じゃなくて別れた後に一度だけ寝た名前も知らない男の子供だったみたいだ」
斗真「………」
斗真が2本目の煙草に手を付ける。
「あの時は…お前に頼らなかったら翔はどうなってたか分からない。俺の責任だって思ってる。けれど今回の事は許せない。でも…俺と翔の事にお前を巻き込んでしまった事も事実で…」
斗真「………どんなお前でも愛してるって」
「え?」
斗真「どれだけ傷つけられても振り回されても…翔くんはお前が居ないと生きていけないってさ」
「………翔が…」
斗真「今までは…心の何処かで『どうにかなる』って思ってたのかもしれない。お前達が別れれば俺の出番だって。でも…そんな事言われたらもうお前達がどうなろうと俺の取り付く島なんてないって分かったよ」
「もう翔に会わないでくれ。俺も…暫くはお前に会いたくない」
斗真「………殺さなくていいのか」
「………そう思ったけどな。俺の責任でもあるし…それに…」
斗真「………それに?」
「お前の事…心から憎めねぇよ…」
斗真「潤…うぐっ」
斗真の腹をドンと殴り、立ち上がる。
「煙草サンキュ」
灰皿に煙草を押し付けその場を離れた。
斗真「潤」
振り返ると斗真が弱々しく俺に手を振った。
斗真「………じゃあな潤」
「………じゃあな。斗真」
そのまま俺は斗真の家を後にした。