第67章 恋の行方 PART 2
潤の事を考えてるとどうしても眠れなくて。
リビングへと戻った俺は棚の引き出しの中から紙を1枚取った。
それは…このマンションの空き部屋の契約書。
サインや判子は押して後はもう提出するだけ。
出て行きたくない。
でも出来ない。
もう俺達は…終わった。
潤とこんな状態で一緒に居られる訳ない。
「でも…ちゃんと潤に伝えなきゃ。分かってくれるまで」
そう心に誓いながら契約書を握り締めた時、玄関の開く音が聞こえる。
驚いているとバタバタと潤が入って来る。
「潤…お帰り…」
潤「翔…良かった起きてた…!」
「えっ…ちょっ、潤!」
目が合うなり急ぎ足で俺に近付くと、そのまま抱き締められた。
「な、何…」
潤「愛してる…!」
「潤…?」
潤「………俺の子じゃない」
「………え?」
潤の言葉が分からなくて何も言わずにいると、潤が身体を離して俺を見つめてくる。
潤「………真央が妊娠してたのは…俺の子じゃない」
「………な、に…」
潤「翔。だから翔が責任感じる必要はもうないんだよ」
「………嘘…」
どうして潤が知ってしまったのか分からない。
でも…思いもよらないその言葉に俺の瞳からは涙が溢れた。
潤「だからもう1人で苦しまないでくれ」
「本当に…?」
潤が何度も頷きながら俺を抱き締める。
「潤…!」
いつの間にか…俺の手から契約書は床に落ちていた。