第66章 恋の行方 PART 1
真央が…妊娠していた。
俺との子供…。
ソファーに座ったまま、頭を抱えて黙ってると…真央が隣に座った。
真央「貴方の子供…だったら良かったのにね」
「………え?」
顔を上げると真央が悲しそうな表情で俺を見ていた。
真央「別れた後…よく貴方と行ってたバーでね。1人でよく飲んでた。貴方の事思いながら。そこで声を掛けられたの。名前も連絡先も知らない人。誘われるまま…ホテルに行った。たった一度だけよ。それ以来会ってない。本当に…どうでも良かった」
「………」
真央「その人の子供…妊娠した。何の感情もないまま…堕ろした」
「………そんな…」
真央「貴方の子供だったらどんなに良かったか。知ってる?私貴方と早く結婚したかった。既成事実が欲しくて…よくコンドームに穴空けてた。でも…妊娠しなかった」
「………」
真央「なのにたった一度寝ただけの人の子供…妊娠するなんてね。もし別れた時妊娠してたら…貴方に言ったと思う。結婚出来なくても…1人で産んでた。それ位愛してた」
ぎゅっと手を握りながら涙を堪える真央の横顔。
真央「櫻井さんに…言ったの。『潤くんの子供を妊娠してた』って。貴方のせいで…堕ろさざるを得なかったって」
「………嘘だろ」
真央「本当よ。苦しめば良いって思ったから」
「………そんな…」
真央の妊娠。
俺の子供を妊娠していた。
そう告げられた翔は…俺と…。
何故頑なに翔は俺を拒んだのか。
漸く俺は…その事実を知る事が出来た。