第66章 恋の行方 PART 1
斗真「潤」
斗真の呼ぶ声に顔を上げる。
「何」
斗真「………翔くんを愛してる」
「………」
斗真「この間翔くんに会った。傍に居て欲しいって伝えた」
旬「斗真…!」
斗真「ずっと愛してた。20年ずっと…翔くんを愛してた。お前との幸せを心から願ったから俺は奪おうなんて微塵も思わなかった。でも…お前が壊した。だったら俺が翔くんを貰う。翔くんが欲しい。だから想いを伝えたんだ」
「………」
斗真「返事は貰えなかった。でも…またちゃんと伝えるつもりだ」
「………そうか…」
斗真「翔くんがまだお前を愛してるのは分かってる。一生気持ちは変わらないって事も。でも…もう我慢したくない」
斗真の想いに俺は何も言えなかった。
俺達の為に想いを封印してきた斗真。
『泣かせるな』
そのたったひとつの約束を破ってしまった俺にもう斗真の想いを止める事は出来ない。
「もう好きにしたらいいよ」
旬「潤…!」
「翔が選ぶ事だ。でも…俺も翔を愛してる。諦めたつもりだったけれど…やっぱり無理だ。翔を愛してる」
斗真「………そっか…」
「あの時…引き下がってくれてありがとう。俺だったら耐えられなかった。でもお前は俺とも翔とも変わらずに居てくれた。感謝してる。もう何も言わない」
旬「おいおい潤…」
「でも俺も簡単には渡さない。翔は俺の全てだから」
斗真「………うん…」
旬「あ、おい!潤!」
俺はそのまま斗真の家を後にした。