第66章 恋の行方 PART 1
旬「冷静にって言ったろ潤!」
「………」
旬「斗真大丈夫か」
斗真「………平気」
斗真を支えながら起こそうとする旬。
頬を押さえながら俺を見上げる斗真。
2人を見下ろしながら俺は痛む右手を押さえ立ちすくんでいた。
旬「潤…」
斗真「俺が悪いんだ。一発で済んだだけ感謝しないと」
「………」
斗真「潤すまない」
「………タオル持って来る。何処にある?」
「………寝室」
一歩、寝室に行こうとした足が止まる。
「悪い旬。斗真リビングに連れてくからタオル持って来てくれ」
旬「あ…うん。分かった」
急いで寝室へと向かう旬。
俺は無言のまま斗真を起き上がらせる。
翔が斗真に抱かれた場所なんて…俺は見たくない。
そのまま斗真を連れて俺はリビングのソファーに座らせた。
斗真「潤…」
「殴りに来た訳じゃない。聞きたい事があったから」
斗真「聞きたい事…?」
旬「お待たせ。ほら斗真」
斗真「ありがとう」
旬から渡された濡れタオルを受け取り、斗真はそっと俺から殴られた頬に添えた。
旬「殴るなって言ったのに」
「殴るつもりじゃなかった。でも…顔見たらやっぱり無理だった」
斗真「殴られて当然の事したと思ってる。一発で済んだ事が驚きだよ」
旬「………何で翔くんとそんな事になったんだよ」
斗真「………俺を頼ったから」
ポツリ、そう斗真が呟いた。