第66章 恋の行方 PART 1
翔はもう俺とやり直すつもりはないと思っていた。
そんな翔とやり直そうと努力する事は無駄なんだと…俺も別れを決めた。
けれど。
翔はまだ俺を愛してくれてる。
傍に居たいと…思ってくれてる。
じゃあ何で。
俺に別れを告げたのか。
あの日。
仕事帰りに逢う事を笑って約束してくれてたのに。
電話口の翔は泣いていた。
『俺を選ばないで』
その日はそのまま電話はもう通じる事は無くなってしまった。
あの時は翔は…そのまま斗真の元へと行った。
そして…斗真と…。
何でそんな事をしたのか。分からない。
考えると怒りで震えそうになる。
でも…どうして。
俺と別れる事を決意したとは言え…その直後にその足で斗真の元へ行くなんて。
翔はハッキリした事は言わない。
やっていく自信が無くなった。
そう告げられた。
やっぱり…何かあった筈なんだ。
そんな簡単に…俺以外の男に抱かれるなんて。
翔はそんな人間じゃない。
そう信じてる。
じゃあ何で。
聞かなければならない。
けれど…あいつに会って冷静な判断が出来るのだろうか。
自信がない。
「………くそっ…」
スマホの連絡先を見つめながら…俺は大きな溜め息を付いた。