第66章 恋の行方 PART 1
ー翔sideー
リビングに入ると直ぐにキッチンへと入り、帰りに買った夕飯の食材を入れようと冷蔵庫を開ける。
まだ潤はリビングに入って来ない。
「………はぁ…」
潤に抱き締められたのはどれ位振りだろう。
抱き締められた事で封印していた潤の感覚が戻って来る。
そのままここに居たい。
その想いを振り払って潤の腕の中から逃げた。
「駄目だ…まだ…」
こんなにも…潤を愛してる…。
一緒に居ればいる程…潤を求めてしまう。
本当にこのまま…同居を続けられるのか。
いっその事早く彼女と寄りを戻してくれれば諦めもつくのに。
それでも…それを想像すると心が引き裂かれそうになる。
何で自分はこんなに我儘なんだろう。
冷蔵庫の扉に項垂れてると、スマホの振動で少し驚いてしまう。
慌てて見ると…斗真からのメッセージだった。
リビングの入口を見ても潤の足音も聞こえない。
俺は急いで画面を開いた。
「………」
斗真からのメッセージ。
『逢いたい』
たったそれだけの言葉に…俺の心はざわついた。