第66章 恋の行方 PART 1
潤「それじゃお疲れ様」
マネ「お疲れ様です。ではまた」
マネージャーの車に見送られ、俺達は並んでマンションに入って行った。
玄関を開けるとリビングから勢いよく虎鉄が駆け寄って来る。
翔「虎鉄ただいま」
虎鉄「にゃーん」
翔の足に擦り寄りながら虎鉄はゴロゴロと喉を鳴らした。
翔「ふふっ、太陽帰るまでもう少し待っててね」
虎鉄「みゃ」
分かった、とでも言う様に翔を見つめた後、リビングへと戻って行く。
それに続いて翔も靴を脱いで玄関へと上がる。
「翔」
翔「え?」
声を掛けると翔が少し驚いた様子で振り返る。
翔「どう、したの?」
「………さっきはごめん。急に抱き締めたりして」
翔「………平気。心配してくれてありがとう」
「もしまたあいつが絡んで来たら…教えてくれ」
翔「分かった。ありがとうね」
「………本当に…ごめん」
翔「大丈夫だって。会見にいきなり居たからビックリしただけ。気にしてないよ」
笑いながらポンポンと肩を叩き、スタスタと先にリビングへと入って行った。
「………気にしてないって…どっち…?」
あの記者の事?それとも…抱き締めた事?
久し振りに感じた翔の感触はまだ俺の中から出てはくれない。
まだこんなにも愛しいのに…。
翔は…もう前に進んでるのか?
何も言えずに俺は強く手を握り締めた。