第66章 恋の行方 PART 1
ー潤sideー
「はぁ…」
控室に戻り、それぞれ、ぐったりとしていると翔が皆の顔を見渡す。
翔「ごめん皆…後半あまり話せなくて…」
和「気にしないでいいって。それよりあいつ何なの」
智「何で不妊の事知ってんだ」
雅紀「あんな人紛れ込んでるなんてね…」
翔「………」
何かを思い出したのか、翔がぎゅっと拳を握る。
そう言えば、あの記者が手を上げた瞬間から少し翔の様子がおかしかった。
「翔。もしかしてあの記者…知ってるのか?」
翔「………」
翔が黙って俺に背を向ける。
和「翔ちゃん?」
翔「………あの人だよ。潤と彼女の事…教えてくれたのは」
「え…」
俺と真央の事。
別れを告げようと彼女のマンションに入って行く姿。
そして…宮城での事。
「ごめん…俺…」
翔「それはもう…いいんだ。あの人…もっと…知られたくない事知ってる」
「………もっと知られたくない事?」
聞き返すと…翔がゆっくりと俺の方を向いた。
翔「………あの人…知ってるんだ。俺が…………レイプ…されて流産した事…」
「何だって…!?」
和「嘘でしょ…!」
翔「だから…もしあの場で言われたらって思うと怖くて…目で言ってた…『知ってるぞ』って…『俺はお前が犯された事があるの知ってる』って…俺…いつ言われるかって…」
その先を遮る様に俺は翔を抱き締めた。