第66章 恋の行方 PART 1
ー翔sideー
「はぁ…」
リビングで俺は荷物の山に顔を埋めた。
「何でだろ…」
寝室の扉を開け、ベッドが目に入った瞬間、思い出してしまった。
潤との幸せを1番噛み締めていた場所。
幾度となく愛し合った場所。
親子3人で川の字になって過ごした場所。
眠る潤を太陽と一緒に見ていた朝。
目が覚めると潤と太陽が俺を見ていた朝。
この幸せは揺るがないって…信じて疑わなかった場所。
あの場所には入れない。
入っちゃ駄目だ。
忘れないといけない。
きっと潤は…近い将来彼女とよりを戻すだろうから。
こうして一緒に住んでいても…それは受け入れないといけない。
それは俺が望んだ事だから。
潤を彼女の元に返す。
それが俺の贖罪。
太陽「おかーさん。片付けたよ!」
「あ、うん。ありがとう。じゃあ次これ」
息子の言葉に我に返る。
太陽「はーい」
「しっかりしなきゃ…同居初日に…」
荷物を抱え、立ち上がった。