第66章 恋の行方 PART 1
翔「あ、潤。置いていった俺の服ってまだ寝室にある?」
「あ、うん。触ってない」
翔「分かった」
あの寝室は…もう俺だけの寝室。
太陽の部屋には…太陽のベッドの隣に新しく買ったシングルベッド。
翔はそこで太陽と眠る。
「翔手伝おうか?」
そう言って翔を追いかけると…翔は寝室の入口で立ち止まっていた。
「翔?どうした?」
翔「あ、いや…ごめん」
「え?」
翔「………寝室に入るのは…やっぱり…」
「………」
『元』夫婦だから。
頭に浮かぶ続きの言葉。
「………俺が持ってくよ。大丈夫」
翔「ごめん。ありがとう」
俺に視線を合わせずに翔はリビングへと戻る。
その背中を見送って寝室に入ると、一緒に眠っていたベッドが視界に入る。
「………」
付き合ってた頃は…ダブルベッドだった。
結婚して…子供も生まれるからクイーンサイズを買い直して。
太陽と3人で眠っていたベッド。
翔と…何度も熱く愛し合ったベッド。
夫婦の思い出が詰まったベッド。
もうここに翔が横になる事はないと思えば思う程、自分の犯した罪の重さに苦しくなる。
「………しっかりしろ。同居初日に…」
頭をバシバシと叩きながら翔の服をまとめた。