第66章 恋の行方 PART 1
ー潤sideー
太陽「おとーさんただいま〜!」
「お帰り!久し振りだな太陽」
太陽「うん!」
「虎鉄も久し振りだな」
虎鉄「にゃぁ」
太陽の腕の中で虎鉄がゴロゴロと喉を鳴らす。
久し振りに見る太陽はまた少し背が伸びていて。
息子の成長を再確認していると、後ろから鞄を抱えた翔がやって来た。
「………お帰りなさい」
翔「………ただいま。今日からまた…宜しくお願いします」
「宜しく」
ぎこちない挨拶をした後、並んで中に入った。
今日から始まる新たな生活。
あの頃と少し違う。
元夫婦とその息子。
マスコミにもちらほら同居の話は漏れてるらしく、ネットニュースにはたまに俺達の話題が上がっていた。
翔「あ、そう言えば潤。相葉くんの結婚式のスーツ取りに行った?」
「いや…ちょっと忙しくて」
翔「じゃあ俺が明日取りに行って来るよ」
「いいの?ごめんありがとう」
翔「大丈夫」
何気ない夫婦の会話。
でも今は…夫婦ではなく『元』夫婦。
その『元』という文字が俺に乗り掛かる。
翔「太陽ー。これ太陽の荷物だから部屋に持って行って片付けて?」
太陽「はーい」
あの頃と変わらずに、普段通りの話をしながら先に届いた荷物を片付ける翔の後ろ姿。
でももうこの人は…俺の妻ではない。
こうして同居してても…俺の物ではない。
もし斗真と付き合う事になったとしても。
『これから斗真とデートしてくるね』
そう言って出掛けていったとしても、もう俺には止める権利もない。
翔「潤?どうしたの?」
「え?あ…いや…」
振り返った翔が俺を見つめても、笑って誤魔化すしか出来なかった。