第65章 答え
智「おはよ翔くん。今日は早いね」
「おはよ智くん。朝少し打ち合わせあったから」
智「そっか。お疲れ様」
にのの手を引いて楽屋に入って来る智くん。
隣のにのは俺の顔を見ようともしないで定位置に腰掛ける。
「おはよ…にの」
和「おはようございます」
抑揚の無いトーンで返事をしながら鞄からゲームを取り出した。
「あ、あのにの…」
声を掛けると、にのがゲーム機のボリュームをMAXにする。
楽屋に響く大きな機会音。
智「かーず。ちょっとボリューム下げろ」
和「いいじゃん別に。余計な音入って来なくていいでしょ」
智「余計って…」
智くんが溜め息を付きながら俺に『ごめん』と目配せする。
俺は首を振りながらスマホを取り出し、智くんに向かってスマホを指差した。
智くんがスマホを取り出すと、彼にメッセージを送る。
『にのと話したい。ちゃんと謝りたいから』
そう送ると、智くんから『OK』『頑張れ』と可愛いスタンプが送られてきた。
智「ちょっとおいらトイレ行ってるから」
和「は?」
智くんがそう言うとにのが慌てて顔を上げる。
和「ちょっとさとし!」
智「漏らしちゃいそうなの!」
和「なら家でしてこいよ」
智「はーい」
そのま智くんは楽屋を出て行った。
そして、楽屋には俺を無視し続けるにのと俺だけが残った。