第65章 答え
太陽を連れて帰ろうとしたのか、寝室に入ろうとしていた翔の肩を掴む。
翔「離してよ!」
「とりあえず静かにして。太陽起きちゃうだろ?」
翔「帰るんだから起こすよ」
「せっかく眠ったのに止めよう。頼むから最後まで話聞いてくれないか?」
そう言うと、興奮していた翔は少し落ち着きを見せた。
翔「………分かった」
「ありがとう」
翔「一緒に暮らしたいってどういう事」
「………太陽の為だよ。太陽の為に…ここでまた3人で暮らさないか」
翔「俺達離婚したんだよ?なのにどうしてそんな事が出来るんだよ」
「俺達決めたよな。これからは太陽の事1番に考えて行こうって」
翔「………そうだよ」
「俺忘れられない。離婚する事を話した時の太陽の顔。初めてだったじゃないか。いつも俺達の言う事素直に聞いてくれる子だった太陽が…あんなに『嫌だ』って…。それだけ…俺達はあの子を傷付けたんだ」
翔「………」
「だから…太陽がここで一緒に暮らしたいって言うんなら…そうしてあげたい。俺達の離婚で沢山傷付けたから…」
翔「………」
「そう考えたら元夫婦が息子の為に同居するってのも…ありなんじゃないかって…少なくとも俺は」
翔「………」
「突飛な提案だってのは分かってる。でも…考えてみて欲しいんだ」
翔「………分かった。考えて…みる…」
「ありがとう」
翔「………考えるだけだから」
そう言って翔はリビングへと戻って行った。