第65章 答え

潤「翔…もうひとつ、お願いがあるんだ。これは…俺の我儘だけど」


「何？」


潤「………籍抜いても…苗字は暫く松本のままでいてくれないか。翔も太陽も…」


「え…」


潤「………もう俺達別れるって決めたけど…やっぱりまだ気持ちが追い付いてないとこがあるんだ。女々しいんだけど…」


「………」


潤「まだ何処かで繋がってたいのかな…俺…情けないよな」


「そんな事言わないで」


手を伸ばし、潤の腕を取った。


「俺も…暫くは松本の姓のままでいたい。だから嬉しいよ。俺も…女々しいんだよ」


「………ありがとう翔」


そっと手を離し、体勢を戻す。


潤「それと…太陽の養育費なんだけど」


「そんなの要らないよ」


潤「翔」


「お金はあるし…俺が別れたいって言ったんだよ。それに太陽と一緒に居られるのにお金まで…」


潤「最初にきっかけを作ったのは裏切ったのは俺だよ。慰謝料だって払いたい」


「止めて。そんなの要らない。だって俺だって裏切ったんだよ」


潤「でもそれだって…」


「慰謝料なんていらない。お願い潤」


潤「分かった。でも養育費は払わせて。父親として出来る事はしたい。太陽の為に」


「………分かった。ありがとう。潤…時間見つけて太陽と会ってあげて。お願いします」


潤「勿論。そこはでしゃばらせてもらうよ」


潤の笑顔に俺も笑顔で返した。


「………潤」


潤「ん？」


「ありがとう。俺…幸せだったよ」


潤「………俺もありがとう。翔と結婚出来て良かった」


こうして俺と潤は…９年間の結婚生活にピリオドを打ったのだった。