第65章 答え
それから数日後。
俺はまた自宅へと帰った。
これからの事に関して潤と話し合う為に。
潤「家族には話した?」
「まだちゃんとは…。でも多分…母さんは気付いてる」
潤「そっか。きちんと決まったら報告に行かないとな」
「うん。松本の家にも…」
潤「………翔はこのまま実家で暮らすの?」
「それは…出来ない。今は甘えて住まわせて貰ってるけど…ケジメは付けたいから」
潤「そっか…」
「あの…潤」
潤「ん?」
「………太陽の…事…」
潤「どうした」
「………このまま俺が引き取りたい」
潤「そう言うと思ったよ」
「潤…」
潤「子供には母親が必要だ。俺も太陽の傍に居たい。でも…必要なのは翔だよ」
そう言って穏やかに潤は笑った。
潤「でも…その代わりお願いがあるんだ」
「え…」
潤「………実家を出ないで欲しい」
「でも…」
潤「実家出て太陽と暮らす?こんな不規則な生活してる片親で…子供はどうするんだよ」
「それは…」
潤「翔の言い分は分かる。でも俺達が今1番大切にしないといけないのは太陽だ。太陽を1人ぼっちにさせられない。だから…実家を出ないで欲しい」
「………分かった。そうする」
本当は嫌だった。
実家に居ると両親に甘えてしまう。
けれど、それは自分だけの感情なんだ。
太陽と2人暮らしになると、どれだけ寂しい思いをさせてしまうのか。
考えただけで罪悪感の波に押し潰される。
潤の言う事が正しい。
甘えよう。
太陽と一緒に実家に居よう。
俺はもう一度、大きく頷いた。