第10章 ♣️ウィンタースポーツが…
俺は智くんの背中に腕を回して、ギュッと抱き締めた。
暫くの間そうしていると、智くんも落ち着いてきたようで、
「なんで翔ちゃんいるの?」
今頃なのね…f(^_^;
「後で話すからさ、ちょっと着いてきてよ」
ずれた帽子と、マフラーを直して、智くんの手を引いて雪の中をゲレンデに向かって歩く。
「智くん、あそこ見てよ」
指差す先には、俺達に向かってブンブン両手を振る人影。
「あ、あいばぢゃ…」
「ストッ~プ! 泣かないで~!」
また泣かれたりしたら、今度こそ俺お手上げだ。
行きな、と促すように智くんの背中をポンと押すと、智くんは雪の中を走り出し…
あ、また転んだ…
「あいばぢゃ~ん…」
駆け寄る雅紀が智くんを抱き起こす。
ここからは俺の出る幕じゃない。
俺の役目は終わった。