第25章 ♠お片づけ
「和、何時頃帰って来るんだろ?」
相葉ちゃんが鼻を啜りながら言った。
「さぁ…でも確実に日は跨ぐよね」
松潤の言葉に、翔くんが時計とにらめっこを始めた。
「けっこう遅くなりそうだから、智くん少し寝といたら? 今朝早かったでしょ?」
ぼくを気遣う、翔くんの優しい言葉。
「ちゃんと起こしてよ?」
ぼくは二階の個室に上がる気にもなれず、リビングの片隅で、翔くんが用意してくれた毛布にくるまった。
直ぐに睡魔がやってきて、そのままぼくは眠りに落ちた。
「…としくん、起きて?」
肩を揺すられ、ぼくは思い瞼を開いた。
「和、もう着くって今メールが来たから」
翔くんに支えられながら身体を起こした。
その時、クラクションが一つ短く鳴った。
「和、来たの?」
ぼくが聞くと、翔くんが“うん”と頷いた。
相葉ちゃんは居ても立ってもいられない様子で、リビングを飛び出した。
ぼくも翔くんに手を引かれて、玄関まで行くと、和を出迎える準備をした。
一つずつ手渡されるクラッカー。
漸く力が入りだした手で、その紐を掴んだ。
そしてゆっくり、カラカラと音を立てながら開かれる玄関の扉。
「ただい………」
『和、おめでとう!!』
深夜に鳴り響くクラッカー。
照れたように笑うその顔は、もうぼくたちが知っている、いつもの和の顔だった。